繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」どちらが得か
住宅ローンの繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの方式があります。 同じ金額を返しても、どちらを選ぶかで利息の減り方も家計への効き方も変わります。 違いと使い分けを、具体的な試算例とあわせて整理します。
2つの方式の違い
繰り上げ返済とは、毎月の約定返済とは別に、まとまった資金でローンの元金の一部を先に返すことです。 返した分の元金にはそれ以降の利息がかからなくなるため、総支払額を減らせます。 このとき「浮いた分をどう反映させるか」で方式が分かれます。
- 期間短縮型:毎月の返済額はそのままにして、返済期間を縮めます。完済が前倒しになります。
- 返済額軽減型:返済期間は変えずに、毎月の返済額を下げます。完済時期は当初のままです。
どちらも「返した元金に対する将来の利息」が消える点は同じですが、期間短縮型は 利息がかかる期間そのものも短くなるため、利息の軽減額は期間短縮型のほうが大きくなります。
試算例で比べる
借入額3,000万円・返済期間35年・全期間固定金利1.5%・元利均等返済のローンで、 返済を始めて10年目に100万円を繰り上げ返済した場合の概算です(手数料・団信・金利変動は考慮しません)。
| 項目 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 約91,800円(変わらず) | 約87,900円(約3,900円減) |
| 返済期間 | 約1年3か月短縮 | 変わらず |
| 軽減される利息(概算) | 約38万円 | 約19万円 |
同じ100万円でも、利息の軽減額は期間短縮型が返済額軽減型のおよそ2倍になります。 「総支払額をできるだけ減らしたい」なら期間短縮型が有利です。 金額・金利・残り期間を変えた試算は 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーターで確認できます。
どちらが向いているか
期間短縮型が向く人
- 家計に月々の余裕があり、当面キャッシュフローを楽にする必要がない
- 定年までに完済したい、老後に返済を持ち越したくない
- とにかく総支払額(利息)を最小にしたい
返済額軽減型が向く人
- これから教育費や車の買い替えなど、支出が増える予定がある
- 収入が減る可能性があり、毎月の固定費を下げて守りを固めたい
- 浮いたお金を投資や貯蓄など別の用途に回したい
迷ったときは「今の生活の安全度」で決めるのが分かりやすい方法です。 生活が安定していて完済を急ぎたいなら期間短縮型、 先行きに不安があり毎月の負担を軽くしたいなら返済額軽減型です。
繰り上げ返済の前に確認したいこと
- 生活防衛資金を先に確保する:繰り上げ返済に回したお金は基本的に引き出せません。 生活費の6か月〜1年分を手元に残してから検討します。
- 住宅ローン控除との兼ね合い:控除期間中は年末ローン残高の0.7%が所得税・住民税から差し引かれます。 控除期間中に繰り上げ返済で残高を減らすと、その分控除額も減るため、 「軽減される利息」と「減る控除額」を見比べる必要があります。 控除期間が終わってから繰り上げるほうが有利になるケースもあります。
- 手数料と最低金額:金融機関によって繰り上げ返済手数料や最低受付金額が異なります。 ネット手続きなら無料という銀行も多いので、事前に条件を確認します。
- 金利が低いローンでは効果が小さい:金利0.5%前後の変動型では利息そのものが少ないため、 繰り上げ返済より手元資金を厚くしたり運用に回したりするほうが合理的な場合もあります。
まとめ
- 利息の軽減額は期間短縮型 > 返済額軽減型。総支払額を減らすなら期間短縮型。
- 毎月の負担を軽くして守りを固めたいなら返済額軽減型。
- 実行前に、生活防衛資金・住宅ローン控除・手数料の3点を必ず確認する。
自分の条件での軽減額と期間短縮の目安は、 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーターで試算してみてください。 額面と手取りの関係は給与の手取り計算(概算)も参考になります。